苔 鮮 化 症 候 群 (慢性型)
症状・定義
大小の脱毛域 皮膚の炎症 表皮肥厚 色素沈着 趨壁 脂漏 雲脂様の痂皮
原因群
アレルギー(ハウスダストアトピー ダニ・アレルギー 食餌性アレルギー 草木アレルギー )
寄生虫 (毛包虫・アカルス 疥癬虫 家庭ダニ 蚤 ケイレテイラ 真菌感染)
自己免疫 (尋常性天疱瘡 紅斑性天疱瘡 落葉性天疱瘡 増殖性天疱瘡 類天疱瘡
ホシト・小柳天疱瘡 ジュウリング疹 皮脂腺炎 )
ホルモン性 (甲状腺 性腺 去勢後 雌性化症候群 卵巣切除後 卵巣腫瘍 黄体遺残症)
慢性皮膚病の終末に起きる皮膚変化症候群
診断条件
原疾患特有原因の追及
治療法
発症原因の治療を優先する
皮膚の苔鮮化症候はISK液の1日1回以上外用塗布を継続
ステロイド剤は錠剤での内服は禁句 体重1kg当たり0.13mg以上は使用しない
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動物皮膚病図鑑 皮膚科専門外来動物病院 2012/05/25日号 通巻14号
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1.患犬の病歴 ラブラドール 避妊雌 7歳 25kg 栄養低下
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初診時の頸の下の皮膚色素沈着 |
頸の下広域炎症性の色素沈着 |
前胸部の炎症で痒がる |
腋窩から下腹部に大班性病変 |
下腹部から内股にかけて広域病変 | 体下面の赤色色素沈着性病変 |
5.治療方針 診断結果による 抗アレルギー剤のコンピューター処方 1日3回分服
皮膚の色素沈着には ISK液 を毎日塗布 ビタミン剤 A EFの内服
動物皮膚病図鑑 皮膚科専門外来動物病院 2012/06/25日号 通巻17号
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1.患犬の病歴 プロフィール
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眼瞼頬の周囲脱毛.色素沈着 | 腋窩.前胸皮膚紅調.掻痒 | 下腹部・内股全面炎症性脱毛 |
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大腿後面炎症.色素沈着 |
大腿側面飛節広域脱毛病変 | 尾根脱毛苔癬化趨壁性病変 |
寄生虫検査 疥癬 毛包虫 ダニ 何れも陰性
4.診断 アレルギー性 苔癬化症候群
5.治療方針
甲状腺ホルモンの補充 ビタミン剤 A EF
外用薬効 ISKを毎日色素沈着部位に塗布する
舌下減感作 1万倍から開始
飼育指導
栄養改善 固形フード半分、人の食事半分 牛乳 魚を多く与える
シャンプー禁止、散歩運動から帰ってから足を洗わない、拭くだけ。
動物皮膚病図鑑 皮膚科専門外来動物病院 2012/11/05日号 通巻30号
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1.患犬の病歴 プロフィール ウエスティー 避妊雌 7歳 6.5kg 栄養 中 生後3ヵ月で毛包虫の治療歴がある。その後皮膚の炎症が広がり 四肢と腋窩から下腹部に広く脱毛・色素沈着が進行して掻痒が酷くなり、
3.検査
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動物皮膚病図鑑 皮膚科専門外来動物病院 2014/10/15日号 通巻78号 キーワード 皮膚病 苔癬化症候群 ステロイド(通常の5.5倍量)の副作用 ハウスダストアトピー |
プロフール
パグ 避妊雌 7歳 7kg 栄養中の下
A 2年半前にお尻が剥げたので動物病院で診察を受けたが診断名無く、ステロイドの1/2錠剤を1日2回内服を継続した。
B 7日に1回のシヤンプーを継続していたが皮膚が黒くなったのでアカルスの薬を2カ月間内服した。
C 脱毛した痕の皮膚の色素沈着が全身に拡大したのでホームページで皮膚科 動物病院を知り来診した。
註 診断なくしてステロイド剤の内服(通常の5.5倍量)を継続していた。
註 皮膚が色素沈着したのでアカルスの確認せずアカルスの薬を2カ月間内服。
註 皮膚の色素沈着にシヤンプーを原因・診断せずに対症的に毎週した。
当院の初診察時の写真6枚何れも色素沈着・苔癬化症候群
A 眼瞼周囲・口唇・首下などに限定した脱毛の皮膚が慢性化と肥厚し色素沈着を起こしているのは、特定の犬種に多発するアカントージス・ニグリカンスである。 |
B 前胸から肘関節・前足の広域に皮膚の肥厚・色素沈着・落屑がある、此の犬種に多発する慢性の皮膚病で原因はアレルギー体質・ハウスダストアトピーの |
C 前胸・腋窩・肘から前肢内側面の皮膚は皺襞性に肥厚があり色素沈着を起こしているのは、ハウスダストアトピーの初期治療が不完全の時に発生する。 |
D 後足・踵から肢先の表面で慢性化したハウスダストアトピーの皮膚症状で苔癬化症候群・アカントージス・ニグリカンスである。 |
E 肛門・会陰・大腿後面の色素沈着。肥厚した皮膚は不妊手術による性ホルモン欠損が原因の特徴的付随皮膚症状と解釈するのが正しい。 |
F 両後足の踵域の脱毛性色素沈着は何れもハウスダストアトピーの治療が不満足の場合に発生する場所で慢性化の特徴と理解する。 |
検 査
ホルモン検査 Corti(副腎・ステロイド)2.39 T3(甲状腺ホルモン)0.28 T4(甲状腺ホルモン)1.47↓
fT3(甲状腺ホルモン)2.01 fT4 (甲状腺ホルモン)0.39
血 液 検 査 ALB(タンパク質)2.5↓ ALKP(肝機能)65 ALT(肝機能) 16 GLU(血糖) 82
CHOL(コレステロール)110
BUN(腎機能) 8 TRIG(中性脂肪)40
皮膚掻爬検査 毛包虫(―) 疥癬虫(―)
診 断
基礎疾患 アレルギー・ハウスダストアトピーの 慢性化による苔癬化症候群に進展した
此の犬種特有のアカントージス・ニグリカンスで 原因はステロイドの間欠的(通常の5.5倍量)の内服継続で発症した。
治 療
ハウスダストアトピーの自動処方・1日3回内服 ビタミンA EF剤を1日3回内服
色素沈着の皮膚にはISKの塗布薬を毎日散歩前に塗布して皮膚の新陳代謝を促進する
抗生剤は不使用 シヤンプーはタール系ならば使用可・以外は不可 高蛋白食を与え栄養改善を図る。
註 初にハウスダストアトピーの診断で抗アレルギ−剤を使用していればここ迄苔癬化の色素沈着は悪化しないであろう。
註 慢性化の原因は初期の正確な診断が無かったことに起因している。
註 無診断でステロイド(通常の5.5倍量)間欠的に使用して慢性化に移行し苔癬化症候群となった。
指 導
シヤンプーは禁止(皮膚バリアの破壊・アレルギー物質・細菌の侵入助長)
食餌はフード1/2 人用食事(味付け)1/2を1日3回薬と同時に与える。
散歩・運動は舗装した人車の多い繁華街にする、
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