真 菌 (カビ) 感 染 症

   本総論の後に各論の症例(15.11.01--No104号)が記述してあります

 動物皮膚病図鑑   皮膚科 動物病院   2012/04/15日号   通巻10号 

 キーワード  皮膚病 カビ 真菌症 ステロイド剤 シャンプー


1.患犬の病歴   芝犬   11歳    10Kg  栄養中    
            
2年前、前肢肢端の舐性と脱毛があり、近くの動物病院で真菌の診断で内服薬で治癒
   翌年6月又肢端を舐め始めたが放置してたが全身に患部拡大し、再受診でステロイドの錠剤・
   軟膏で改善・再発の反復し更に2軒の動物病院を変えたが・寄生虫・免疫低下性といわれ次第に
   皮膚症状の悪化が全身性となり・元気消失・体の震えが目立ち・毎週ステロイド・抗生剤の
   治療を継続したが、益々全身性に悪化が進み悪臭が強くなり、メール診断で当院を受診。

2.診察時の画像

 初診時の痂皮性慢性炎症が著明

耳の内面厚層重複痂皮炎症

 腋窩・胸の感染域の病変
 治療開始後1ヵ月効果発現
耳の内面厚層重複痂皮炎症の改善著明    前胸・下腹部の感染皮膚の改善

3.検査 
    
培養検査   患部の材料から真菌の培養をした、感染被毛から菌糸の発生が確認

          

   上の顕微鏡写真 黒い毛髪から多数菌糸が伸張している。
   一般 血液検査は東北地方なので地元の検査報告は受けていない
4.診断  真菌症 。 (ステロイド剤と抗生剤の反復投与で患部の慢性化と悪化。)
5.治療方針  抗真菌剤の1日2回の内服、当院処方の塗布剤を毎日患部に塗布する
6.注意事項  完治するまで内服と塗布する事を継続する。

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 動物皮膚病図鑑   皮膚科 動物病院   2015/11/01日号   通巻104号 

 キーワード  皮膚病 カビ 真菌症 ステロイド剤 シャンプー

患犬の病歴
      プロフィール

ヨークシャテレア 10歳 避妊雌 3kg 栄養低下

   2年前に鼻稜に色素沈着と脱毛に気がついた 近くの動物病院で診察を受けたが皮膚病と
 言われて内服薬
(ステロイド錠5mg11/4)2周間に1回シヤンプーの指示受けたが2年
 経過したがが良く成らず。患部は広がり色素沈着の範囲が大きくなったので
 皮膚科専門動物病院を紹介されて来診した

 
           来診・初診時の写真

 初診時の顔面患部 鼻稜は広域に色素沈着して硬化していた、被毛は不完全脱毛でまばらで色調に異常が認められた。

暗室でウッド灯検査で紫外線蛍光
反応陽性被毛を確認する、ミクロスポラム・カニスの疑いが濃厚。
此の真菌は
(カビは人畜共通感染性があります 要注意

患部の被毛(100培 顕微鏡写真) 正常毛は透明 感染毛は菌糸
が伸びて黒色モザイク状に複雑に
進展する
患部の被毛(400培 顕微鏡写真)感染毛は菌糸の形態が 正常毛は透明とその区別が付けられる 患部の被毛(1000培 
顕微鏡写真)感染毛は菌糸の
形態が明瞭に観察出来る

糸状菌専用培地で培養した12日目の糸状菌(ミクロスポラム・カニス)の形態 菌糸には細かい隔壁が有り病源性を示している (隔壁の無い菌糸は非病原性が多い)

               治療開始後 12日後の写真

治療12日後鼻稜の改善されて、色素沈着が薄くなり炎症が少し消退してきた、新しい産毛も発生して皮膚症状は改善されてきている 暗室でのウッド灯検査で紫外線
蛍光反応陽性被毛の患部領域は
多くは陰性と成点状に残っているのが治療効果の証明となる
患犬の横面から皮膚病が改善された
状態が明確に観察される、鼻筋の
新生毛の発生が観察される、治療が
順調の証拠


検査・ 暗室でのウッド灯 (3620オングストロープ) の紫外線・蛍光反応検査
     感染毛の KOH・DMSO: 顕微鏡での菌糸確認 100・400・1000倍での直接確認:検査
     真菌培養で病原菌の菌糸・分生子の発育・形態照合 確認 検査
治療  抗真菌剤の内服  抗真菌・殺菌剤の1日1回外用塗布の投薬・指導

指導  経時的に診察・暗室でのウッド灯検査  シヤンプーは禁止

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  動物皮膚病図鑑   皮膚科 動物病院   2012/09/15日号   通巻25号

 キーワード
 皮膚病 真菌症(かび感染) 色素沈着 ステロイド剤 避妊手術後皮膚病 シャンプー

  1.患犬の病歴
      プロフィール      

      雑種 避妊雌 8歳   14kg

         発病は平成18年(4年前)動物病院を複数受診したが的確な診断が無く、唯、痒み止め、

     ステロイド剤の投与を受けている内に全身的に
脱毛域が広がり、皮膚は色素沈着を起こし硬くなり、

     家族にも感染し
円形の皮疹が出来てきたので、動物の皮膚科専門医が在るとのことで受診した。

   2.初診時の画像  (下の画像1−3は当皮膚科へ来診時の皮膚変化)
                                  4−5は治療開始後4ヵ月の改善した症候 

 頭部全体の脱毛・色素沈着・雲脂   発赤・脱毛・色素沈着・掻痒顕著
 掻痒・発赤・色素沈着が強い
治療4ヵ月後・発毛開始・色素退化
 治療4ヵ月後・患部縮小・掻痒低下   治療4ヵ月後・色素沈着減退

    3.検査 
         
      
血液検査 ALB(蛋白質)3.4  ALKP(肝機能) 100 ALT(肝機能) 10 GLU(血糖) 114

           CHOL (コレステロール) 121 BUN(腎機能) 17 TRIG(中性脂肪)22
             

            ホルモン検査 Corti (副腎皮質ホルモン)5.75 T3 (甲状腺ホルモン) 0.42↓↓
  
              T4 (甲状腺ホルモン) 1.72
  
  

            皮膚掻破検査は 糸状菌を検出  毛包虫 (-)  疥癬虫 (-)

              真菌培養検査で 犬小胞子菌と断定


   4.診断   皮膚真菌症 (M.Canis    犬小胞子菌)

     5.治療方針  抗真菌剤の1日2回の内服  抗真菌剤の外用塗布を1日2回指導

          皮膚の炎症には抗炎症薬のコンピュター自動処方

          色素沈着には表皮の代謝促進剤の外用塗布で脱色素

          ビタミン剤 A  E  F の1日2回の内服

       治療は長期間かかる事を理解・納得・同意を得る


     
飼育指導   人畜共通感染病であるので飼育に注意  飼い主の感染皮膚は人医へ指導

         シャンプーは皮膚再感染を促進するので禁止 第三者への接触は禁止し隔離飼育する事

         治療を継続しないと完治しなく、休むと必ず再発する

            ドッグラン・ドッグ喫茶・公園の砂場への散歩・運動は他の人畜に

         感染・再感染の恐れが有るのでしない事。

             シャンプー禁止、散歩運動から帰ってから足を洗わずに拭くだけとする   

  動物皮膚病図鑑   皮膚科 動物病院   2012/12/05日号   通巻33号

 キーワード 皮膚病 脱毛 掻痒 舐性 真菌症(カビ感染) 同居・人体感染

1.患犬の病歴 (典型的な皮膚真菌感染(カビ)の症例)
      プロフィール    

    ノーフォークテリア  雌  8ヶ月  4.4Kg 栄養状態 良
       1ヵ月前 親犬被毛の異常に気づき動物病院で診察・検査を受け真菌感染の診断での治療に抗生剤・
    ステロイド・シャンプーを行ってきたが
改善が見られず当院を受診した、その際に子犬の左眼瞼部・
    胸部
2箇所・後肢指間表面部の脱毛があり再度検査を依頼されウッド灯により真菌の反応が陽性が見られ
    同居犬の感染が3頭にも見られ、更に家族の人にも円形の皮疹が観察された症例。

       
  
2.初診時の画像
                                 

    四肢指背面の感染エリア  前胸下面の感染炎症皮膚
 眼瞼周囲に感染し皮膚の変色して いる、前足でよく掻いている。
 上図前指感染被毛のウッド灯陽性
 感染被毛より分離培養した菌糸の一部
 大分子と呼ぶ黴の種子の様な物
上図下眼瞼のウッド灯蛍光陽性

    3.検査 
   
     

     ウッド灯による検査で感染被毛の蛍光陽性反応(添付画像)

顕微鏡による検査で感染被毛を確認 (添付画像)

サブローブドウ糖培地による糸状菌確認

     前医での 被毛ウッド灯検査で反応が陽性で有るとのこと

        被毛のKOH顕微鏡検査が外注検査所で陽性で有るとの報告書を持参している。 

   
 *** ウッド灯とは 2600オングストロームの紫外線発光器 ***

   
 4.診断        (典型的な 皮膚真菌症 の症例)       

          皮膚真菌症 (犬小胞子菌・ミクロスポラム カニス)

          同居感染・シャンプーによる感染拡大 同居犬3頭と家族1人に感染

  5.治療方針 
        
 抗真菌剤の内服薬  1日2回  定期的にウッド灯による検査  

     当院処方の塗布剤を毎日2回患部に筆で塗布 市販の抗真菌剤より効果が良好。 



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