内分泌(ホルモン)不全性皮膚病
通常ホルモン失調症と呼称
ホルモン不全(脳下垂体・卵巣・睾丸・副腎・甲状腺・副甲状腺・胸腺の欠乏・過剰生産・分泌)
皮膚病の多くはホルモン失調が関係している事が立証されている
例えば 去勢・不妊手術で性ホルモンの脱落・更年期障害
脳下垂体前葉成長ホルモンの失調は 小人症・偽クッシング症候群
副腎皮質ホルモンの失調はクッシング症候群・アジソン病・好酸球性皮膚病
甲状腺ホルモン失調・甲状腺ホルモン低下症・バセドウ氏病
副甲状腺ホルモン失調・上皮小体機能亢進症
などの多種多様に相互に干渉して発症する
去勢・不妊手術は人ではしません・動物もしないのが正常・すると副作用を起す。
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動物皮膚病図鑑 皮膚科専門外来動物病院 2016/03/01日 通巻111号
キーワード 老齢性黄体腫性脱毛症
チイワワ 未経産雌 10歳 3.2kg栄養良+ 発情周期不定
2歳時に皮膚の変化と掻痒・舐性が有り2軒の動物病院の診察を受けたが治療効果がなく、ホームページで
皮膚科専門の動物病院を知り来院した。
診断はアレルギー・ハウスダストアトピーでコンピューター処方と舌下減感作療法で皮膚の変化は好転して
良好出あったが、前回の発情が異常に長く又偽妊娠を継続し外陰部が縮小せず発情時の大きさを維持していた、
その後体全体の被毛が薄くなり全身性と局所性に脱毛が目立って来たので再度来診した。
再 来 診 断 写 真 5 枚
A 胸腹側から大腿側面の広範囲の脱毛域が発生し、四肢側面は薄毛状の脱毛が有る、正常毛の光沢は劣化せず体臭はヤヤ脂漏性が有る | B 腹側面が広域脱毛して大腿側面も大きく脱毛斑を形成している、此処で両側性の脱毛変化はホルモン性が起因としての症状の証拠 | C 頸背中の広域背面の脱毛性は両側性に成っているのが特徴・脱毛部の皮膚は赤銅色に薄い色素沈着を起こし、やや脂漏性の臭気を感じる | D 前胸・下腹・内股皮膚の脱毛は黄体・副腎が原因性を示唆しているので原因療法の目安を暗示している | E 肛門周囲から大腿後面と尾裏面にまたがる完全脱毛域は性ホルモンが支配している領域皮膚であり、外陰部の縮小が不完全は黄体ホルモンが起因 |
治 療 開 始 後 5 カ 月 目 の 写 真
F 黄体摘出手術後は徐々に発毛を開始して体臭がなくなり被毛発生頻度が良好となり密度の濃い被毛となってきた | G 体側の被毛は順次回復して正常に近似してくるのは、以下に黄体ホルモンが被毛に影響を左右しているかの裏付けとなる | H 背中全域の発毛域は80%程正常に復帰しているのは、以下に黄体ホルモンの影響があるかとの証拠 | I 腋窩・前胸・下腹・内股エリアの皮膚は正常に近く発毛も順調に進んでいる様になり手術の目的が正当の証明 | J 肛門周囲から大腿後面と尾裏面の発毛が順調で観られる様になってきているのは此の領域がホルモン支配を受けているかの裏付けと成っている |
検査 一般血液検査のみで良い・黄体ホルモン検査はデータとしては有れば良い程度。
診断 年齢 発情異常 偽妊娠 ホルモン性脱毛 軽度の脂漏性以上の問診・視診などで 老齢性黄体ホルモン性脱毛症
治療 外科的に卵巣摘出手術で機能性黄体除去
手術後・発毛促進剤の内服処方を継続、ビタミンA・E内服
指導 シヤンプー禁止・散歩は草叢禁止・舗装道路を10分以上
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動物皮膚病図鑑 皮膚科専門外来動物病院 2015/09/15日 通巻101号
キーワード 皮膚病 全身性の大小脱毛 雌 老齢 飼育環境良
老齢性黄体腫性脱毛症(黄体ホルモン過剰症)
プロフィール
チイワワ 雌 10歳 3.2kg
稟告 元疾患はアレルギー体質でハウスダストアトピーを罹患していた、ハウスダストアトピーは舌下減感作療法と
コンピューター処方で治療経過中で少好常態を維持していた。
2014年8月3日来診して広域の脱毛域が肩と胸の下方域に発生したと来診(写真A--E )。
2014年.9月(写真F--J)脱毛域の数の増加と拡大この時点で雌性器の拡大化顕著があり
老齢性黄体腫性脱毛症(黄体ホルモン過剰症)の疑いを説明。
2014年11月3回目・診察3カ月後(写真K--O)で脱毛域は全身性となり完全に老齢性黄体腫性脱毛症
(黄体ホルモン過剰症)と診断し卵巣摘出手術を薦める。
2015年.5月4回目・卵巣摘出手術後診察3カ月(写真P--U)脱毛域の拡大停止・皮膚の炎症性の低下と産毛が発生する。
2015年.6月5回目・手術後診察4カ月後(写真V--Z)脱毛域の初毛開始して被毛が増えてきた見た目にも効果が立証された。
A 初 2014年3月 右体側肩に脱毛域か発生しているが顕著な掻痒性は無かった | B 左肩上部に非炎症性の斑状脱毛域があり他には異常が見られない
|
C 左肩上部非炎症性の斑状脱毛域の拡大で薄く炎症性が観られる
|
D 顎下・頸・前胸・腋窩の広域性の脱毛域拡大化 | E 外陰部から大腿後面にかけての希毛性脱毛がある |
F 2回目2014年6月 3カ月後 前回と比較すると脱毛域が全身性と成って四肢にも拡大する | G 3カ月後 左右対称性に脱毛域の拡大発生が顕著に見える | H 3カ月後 脱毛域の桃色炎症性が軽度であるが全域に発生している | I 3カ月後 下腹・内股・踵に至る内面の脱毛性炎症・特に発情に関係なく外陰部か肥大している | J 3カ月後 肛門周囲・尾の裏側・大腿後面軽度の炎症性脱毛が特徴 |
K 3回目2014年11月 体側と四肢側面広範囲の脱毛は全身の80%に及んでいる |
L 左右対称性に脱毛域が拡大している、皮膚表面は軽度の脂漏乾燥性 |
M頸・肩・上腕・胸側の広域脱毛が顕著に現れている | N下腹面は広域な脱毛域を形成して、臭気は強くないが感じられる | O 大腿後面の脱毛域は炎症性が少ない尾の付け根から背面に掛けて同じ変化 |
P 4回目2015年3月 卵巣黄体腫摘出手術後1カ月で脱毛部位に産毛が発生する | Q 四肢体側面の脱毛域には皮膚の炎症性が消えて良くなっている |
R 背中全面の脱毛域は皮膚の色が改善され初めている |
S 胸から下腹部・内股にかけて炎症が消退を開始している | T 大腿後面の脱毛域から背中に掛けて・外陰部か肥大が縮小開始する |
U 5回目2015年6月 卵巣黄体腫摘出手術後3カ月全身性に発毛が良好 | V 四肢・体側の発毛は順調に推移して術前と比較すると極めて良好 | W 背中の被毛発生・伸長は特に良くなっている | X 胸・下腹部の毛も良く発生と伸びが良好で喜ばれた | Y 尾根・肛門周囲・大腿後面・踵に至る被毛の発生は復元とている |
診断 卵巣黄体腫性脱毛症 (加齢(8-9歳)に依るホルモン異常)
摘出した卵巣の腫瘍性黄体・黄体ホルモンの過剰生産・分泌
原因 良好な飼育環境・過保護的な条件が発症誘引となる。
治療 卵巣黄体腫摘出手術 条件が良けれはこれだけで治癒する
随伴疾患があれば平行治療を行う
予後 原因除去で再発症はない・随伴疾患と関係は薄い。
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動物皮膚病図鑑 皮膚科専門外来動物病院 2012/02/25日 通巻5号 キーワード 皮膚病 医源性皮膚病 (不妊術後のホルモン不全) 甲状腺機能不全 |
2ヵ月前から稀毛性脱毛に気づき 近くの動物病院でステロイド剤、抗生剤の連用と
シャンプーの治療を受けていたが 症状好転せず 次第に悪化するので転医 来診。
2.診察時の画像
初診時の左頭頂域の脱毛と掻痒性 |
頭頂域の稀毛性脱毛 |
腹側面・大腿外側の広域性 |
小班性の脱毛班が複数発生掻痒性がある |
下腹部に色素沈着の大班は甲状腺不全を疑う | 尾腺を中心に広域の脱毛と炎症性色素異常 |
動物皮膚病図鑑 皮膚科専門外来動物病院 2012/05/15日号 通巻13号
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1.患犬の病歴 トイプードル 去勢雄 3歳 8kg 栄養普通
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初診時の全身性に皮膚面桃色化 |
両側の腋窩が炎症性の病変 |
下腹部の炎症で痒がる |
下腹部に大型赤色大班性病変 |
耳介内面のアレルギー病変 | 四肢肉球間・赤色湿潤性病変 |
動物皮膚病図鑑 皮膚科専門外来動物病院 2012/06/05日号 通巻15号
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1.患犬の病歴
ジャマンシェパード 不妊雌 7歳 13kg (正常体重の半分) 栄養中 甲状腺機能低下(別記)があり、生後7ヶ月から甲状腺剤(ソレキシン)を現在まで内服している、 痒みの酷い患部にビクタスS MTクリームとドルバロンを塗布している。 前医の診断は 下垂体性小体症 甲状腺機能低下症 であった。 インターネツトで動物病院に皮膚科があるのを知り当院の画像診断・相談に至った。
3.検査 以下は地元の動物病院の結果
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動物皮膚病図鑑 皮膚科専門外来動物病院 2012/09/05日号 通巻24号
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1.患犬の病歴 プロフィール ヨークシヤテリア 避妊雌 11歳 3.4kg 栄養 (−2) 体全体の被毛が薄くなり脱毛が始まり動物病院で診察を受け 診断不明で、治療はビタミンE錠 ニチファゲン錠 抗生剤の投与をうけ シャンプーは週1回の指導で治療を続けてきたが、経過が良く成らず脱毛と 薄毛が進行してきたし、体臭もするようになり素人観察でも悪化かしている 2.初診時の画像 (下の画像1−6は当皮膚科へ来診時の皮膚変化)
3.検査
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動物皮膚病図鑑 皮膚科専門外来動物病院 2012/10/15日号 通巻28号
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1.患犬の病歴 プロフィール フレンチブルドック 去勢雄 3歳 8kg 栄養 下 1年前に皮膚の変化に気づき近くの動物病院で診察を受け、注射・ステロイド・抗生剤の内服を
2.初診時の画像 (下の画像は当皮膚科へ来診時の皮膚変化)
3.検査
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動物皮膚病図鑑 皮膚科専門外来動物病院 2012/10/25日号 通巻29号
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1.患犬の病歴 プロフィール 秋田犬 雌 26kg 5歳 栄養 中 1年前から発情期間が長引き発情後偽妊娠の兆候が顕著に有り、乳腺の肥大と 泌乳があつた、今回の発情後も同様の症候群を提示していた。体側の脱毛斑が 多数見られるので近くの動物病院で診察を受けたが診断不詳で脱毛が更に多くなり 心配で皮膚科専門の動物病院が在ると聞いて来診した。 2.初診時の画像 (下の1列目の画像は当皮膚科へ来診時、2列目は治療後の皮膚画像)
3.検査
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動物皮膚病図鑑 皮膚科専門外来動物病院 2012/11/15日号 通巻31号 キーワード 犬 皮膚病 雄性ホルモン不全 雌性化症候群 脂漏性 甲状腺機能低下 ビタミン欠乏 |
1.プロフィール
フレンチブルドック 雄 4歳 栄養 中の下
2年前に発病する、近所の動物病院で2週1回のステロイドの注射3ヵ月間と
ノルバサン−シャンプーを週2回、抗生剤、痒み止め、胃腸薬の内服を継続使用していた。
治療継続したが一向に良く成らず、体臭が油臭く悪化して粉状の脂漏塊が全身から飛散
するようになり、皮膚は肥厚して波打ち皺壁性に増加するのでたまらず転医・来院した。
2.病態画像 (初診時写真)
全身脂漏性・背骨は突出し栄養低下 | 皮膚肥厚過度で皺壁性 |
体下面炎症脂漏分泌過度体臭最悪 |
全乳頭肥大し雌性化症候の特徴 |
四肢前面炎症脂漏性ふけ | 各肉球間炎症はアレルギー変化 |
慢性脂漏の症状 乳頭の肥大は雌性化症候群 栄養バランスの低下
体下面は皮膚肥厚過度で炎症と脂漏で波打つ皺壁性となり慢性脂漏
四肢の肉球間は舐性の炎症で赤くなり、指間も同様に桃色舐性変化がある。
背中に過剰なシャンプーの副作用で細菌感染の痂皮(膿皮症)の散発あり
血液検査
ALB(蛋白質) 3.2↓
ALKP(肝機能) 52 ALT(肝機能)
37 GLU(血糖) 100
CHOL (コレステロール) 99↓ BUN(腎機能) 17 TRIG(中性脂肪) 38
ホルモン検査
皮膚掻破検査 外部寄生虫何れも陰性
ハウスダストアトピーの慢性化症状 (アレルギー)、
雌性化症候群(男性ホルモンの低下と女性ホルモンの分泌亢進)
脂漏症の慢性化症状、軽度の膿皮症。
5.治療方針
コンピュター自動処方のグレイド3.9 (最高は4.0)を処方指定
雌性化症候群には男性ホルモンと甲状腺ホルモンの増量処方
脂漏症にはISK(当院特別処方)外用塗布を1日1回、ビタミンA E剤の内服
アレルギーには個別急速舌下減感作療法を100万倍から1日2回を開始する。
飼育指導
1日3回の食餌はフード半分・味付した人の食物半分を1:1:1.5の割合で与え肥らせる、
散歩は1日2回20分位舗装した人車の繁華街・帰宅後は足を洗わずに拭くだけとする。
脂漏症のISK外用塗布を1日1回散歩の前に塗布すること。
細菌感染(膿皮症)が有るのでシャンプー禁止。